心まにまに

世界は…

担任を持っているときに、保護者の方から

「子どもが使う国語辞典は、どこの出版社のものを買えば良いですか?」

という質問を何度か受けました。そのときには

「教科書と同じ出版会社の辞典がいいと思います。」

と答えていました。

 

国語学者の金田一秀穂さんは辞典の編集に携わっていらっしゃるので、

「国語辞典を選ぶときのポイントはありますか?」

と、人からよく尋ねられるそうです。そのときの答えは

 

「私が作った辞典を買いなさい!」

 

まぁ、それは冗談だと思いますが(半分は本気でしょうか)、「奥付の発行年月日を見て、一番新しいものを買いなさい。」と答えるそうです。

 

日本語は、新しい言葉がどんどん生まれる言語です。

コロナ禍の1年と少しの間にも、たくさんの新語を耳にしました。

「だから、しょっちゅう辞典の改訂が行われ、私たち国語学者が仕事にありつけるんです」

と金田一さんは仰っています。

新しい言葉がどんどん生まれるから、新しい辞典が一番なのですね。

 

 

今日、3年生の教室を覗くと、国語辞典の使い方を学習していました。

ここで問題です。

国語辞典の最初に出てくる日本語は何でしょうか?
また、最後に出てくる日本語は何でしょうか?

 

 

それぞれの答えは、これです。

「愛」と「腕力」。

 

ここからは、金田一秀穂さんの受け売りです。

国語辞典の最初と最後の言葉の、ほぼ中間に位置する言葉が、

サ行の「せ」で始まる、この言葉です。


つまり、「世界」は「愛」と「腕力」の中間でバランスを取っているのだ、と。

国どうしが助けあい、愛しあう一面と、自国の主張を押し通してぶつかり合う一面と、

その中で「世界」は存在している。

 

なるほどなぁ…と思いました。