心まにまに

そこには、あるのです。

週末の風景です。

山が近くに迫っていて、

足もとの川には魚が群れて泳いでいます。

静かで、とても長閑な風景です。

釣人に聞くと、アユも釣れるのだとか。

 

そのすぐ横に、こんなものが見られます。

(じつは、今日はこれを見に来ました。)


手彫り感あふれるトンネルです。

昔は、トンネルのことを

隧道(ずいどう)と言いました。

これは『龍化隧道(りゅうがずいどう)』

といいます。

 

見あげると‥、

上にもトンネルが見えますね。

あれは、現在、使用されている

『新龍化トンネル』

 

手彫りの龍化隧道は、

今は使われていません。

いえ、使えないのです。

 

というのは、私が立っているのは、

川西市の北部にある知明湖・一庫ダム

(ちみょうこ・ひとくらダム)

の「底」なのです。

 

秋から冬はダム湖の水を減らすため、

普段は水底に沈んでいる昔の様子が

このように現れてくるのです。

 

満水になると、

上の写真のように、

新龍化トンネルの道からすぐ下まで、

水に沈んでしまいます。

 

この龍化隧道は、

大正時代に地元の方が自費で掘ったもの。

当時は、この龍化隧道が、

能勢方面へ伸びる主要道路だったのですね。


手彫りの跡が残る隧道の内壁から、

ここを掘った人の願いに思いを馳せました。

そして、ここを利用していた人、

ダム湖の建設を決めた人の願いにも。

社会科の教材になりそうですね。

 

今は‥

立派な大橋が架かる国道173号線が

能勢街道として整備されています。

 

(期間限定で見られる龍化隧道、

 ご興味のある方は道をお教えしますので、

 お子さまを通じてお尋ねください。)