心まにまに

一人で帰れない…

「一人で帰れないの…。」

水曜日の放課後、

1年生の女の子がエントランスのベンチで

しょんぼりと座っていました。

 

1年生の先生が励ましても

「帰れない…」

と、ベンチから立とうとしません。

どうしたのでしょう?

 

部活動が始まり、

1年生の先生たちは

持ち場に行かなくてはならないので、

私が引き継ぐことにしました。

「先生と一緒に帰ろうよ。」

と促すと、渋々ながら立ち上がりました。

 

専用通路を歩きながら、お話をしました。

「一人で帰ったことは、あるの?」

「ない。」

「じゃあ、今日は一人で帰る練習をしようか。

 こっちかな、という方に歩いてごらん。」

「できない。」

「大丈夫、もし、間違えてたら教えてあげるよ。」

その後、改札を通り、

宝塚方面へのホームに上がり、

自分で大阪方面へのホームに移動できました。

 

電車の中で女の子が少しずつ話したことは…

いつもは仲良しのお友だちと帰っていること、

今日はそのお友だちの習いごと?の関係で

一人で帰ることになったこと。

それが残念だったのか、不安だったのか、

「一人で帰れない」気持ちになったようです。

 

想定外の場面に遭遇すると戸惑うのは

大人でもあること。

1年生なら当然のことです。

戸惑う場面を経験するたび、徐々に慣れて、

上手に対応できるようになっていくのでしょう。

 

駅に着くと、

女の子のお母さんが待ってらっしゃいました。

たいへん恐縮されていましたが、

どうぞ、お気になさらずに…。

そのような1年生に寄り添って、

少しずつ強くなる姿を見守ることも

私たちの務めですから。