心まにまに

ちょーだい、ちょーだい!

運動場の上のオリーブの木は、

その昔、井口校長が

豆島での研修に参加した際に

購入した苗木が育ったものです。

 

今の季節、この木には

たくさんの実がなります。

 

 

1年生がやってきて、

高いところの実を指して言いました。

 

「実ぃ、とって~!」

「いいよ、

 …はい、とったよ。」

「ちょーだい!」

「うーん、どうしようかなぁ…。」

「え~、ケチ~!」

 

いや、あげてもいいのですが、

中から汁(油)が出てくると

服を汚しちゃうのですよね。

それを説明すると、

 

「だいじょうぶ!

 つぶさないから!」

 

…その自信はどこからくる!?

 

「ちょーだい!」

「わかった、あげるけど、

 ポケットの中にれっぱなしは

 ズボンが汚れるからダメだよ。

 お母さんにしかられるよ~。」

「だいじょうぶ、

 僕のお母さん、やさしいもん。」

 

子どもは自分の都合にあわせて

お母さんのことを怖くしたり、

やさしくしたりします。

 

「これ、食べられるの?」

「食べられるけど、

 このままだとマズいよ。

 すぐに、はき出しちゃう。」

「じゃあ、先生、食べてみて。」

 

いや、なんで?

今、食べられないって言ったのに。

 

「だから、美味しくないって。」

「ちょっとでいいから、食べて。」

「イヤでぇす、じゃあね~。」

 

離れたところで見ていると、

その子は、しばらくオリーブの実の

手触りを楽しんでいましたが、

やがて、チャイムが鳴ると、

オリーブの実を木の根元に置いて

教室に戻っていきました。

 

飽きっぽいのも子どもの特徴。

まぁ、そんなものですね。

 

ちなみに、落ちたオリーブの実には、

アリがいっぱいたかります。

それも教えてあげればよかったかな。