心まにまに

こたつの暖かさ

突然ですが…、

こたつに家族が集う風景って、

良いと思いませんか。

 

子どもの頃、冬が近づくと

居間に「こたつ」が登場しました。

その卓に、祖父、父、兄、

私、妹が足を入れて座る冬の夜。

ただでさえ窮屈なところへ、

台所仕事を終えた母や祖母が

妹や私の横に割って入る。

あの密な感じが、

なんとも居心地が良かったものです。

 

もっと昔で言えば、

こたつは囲炉裏でした。

家族が向かい合って暖をとる

そのスタイルは変わらないですね。

 

寒い中、

暖かいものをみんなで囲むことを

心地よく感じる遺伝子を、

日本人は持っているのかもしれません。

…そうか、

鍋料理を大勢でつつく楽しさも、

その遺伝子から生まれているのかも。

 

エアコンやファンヒーターが

部屋全体を暖める時代ですから、

昔のように、ひとところに

集まる必要はありません。

でも、なにかと「個人」を謳う時代に

こたつに期待したい気持ちもあります。

 

5年生の国語の教科書に登場する、

杉みきこ作『わらぐつのなかの神様』で、

主人公の女の子が、

おばあさんが若い頃の恋物語を聞くのも、

冬の夜、こたつで暖まりながらでした。