ひばりっこブログ
2019/06/28
「生活科と里地里山プロジェクト」
2年生のクラスを担任していて,子どもたちが今興味を持っていることの一つに「ダンゴ虫を捕まえて飼う」ということがあります。休み時間になると小さな入れ物をもって校庭に出ていき,どこからかダンゴ虫を探し出して教室に持って帰ってきます。大きな水槽にたくさんのダンゴ虫が生息するよううになり,その生態を毎日,見て楽しむ子が増えてきました。そこで生活科の授業で,もう少しダンゴ虫について詳しく観察することにしました。 最近の生活科の授業では,動物や虫などの生き物を扱う授業が以前に比べて随分減ってきました。それは,いろいろな事情によるところが大きいのですが,とても残念なことです。 私がこの学校に赴任し担任を持ち始めたころに,生活科という教科がすでに誕生していました。今は,低学年の教科として普通に時間割に組み込まれていますが,以前は,1・2年生も理科・社会の授業を受けていました。昭和54年に低学年校舎が完成し,その落成を契機に低学年児童の特性を生かした教育実践を行うべく,カリキュラムが見直されることになりました。 ①幼稚園から小学校への移行期は,学校生活に順応すること自体が学習である。②発達段階から見て,未分化な子どもたちであるから,具体的かつ,総合的な活動を通して知識や技能への態度の習慣化を図ることが大切である。③学習活動によって得られた充足感が,子どもたちの自発性や態度・能力を培う母体となるものという考えから,楽しくて充実した学校生活を計画する。以上のことから入門期の学習は,いきなり細分化された知識偏重の教科学習に入るよりも,生活の拡充と深化を目指した体験的な学習活動を行う方が,子どもの実態に即しているという結論に達しました。文部省より生活科が生み出されるより数年早くから雲雀丘学園では生活科を始めていました。 そのころは,週に5時間生活科があり,カリキュラムも多岐にわたっていました。「さんぽ」と称して近くの畑や裏山を登ることもありました。勝手に畑の中に入りレンゲを摘んでいておじさんに怒られたことも今では良い思い出です。パン工場の見学の後には,パンつくりを体験すべく,1日がかりで学校でパンを焼いて手作りして食べました。中でも子どもたちが1番楽しかったのは,学校苑の池でザリガニ釣りをしたことです。学校苑というのは今の幼稚園校舎や告天舎があるあたりにあった広い野原と大きな池のある場所です。池にはザリガニが棲んでいて,それを釣るためにどんな餌がいるか,道具は何がいるかなどを子どもたちはわくわくしながら考えてザリガニ釣りに挑戦しました。ザリガニを釣る前の絵と釣った後のザリガニの絵が全く違っていたことは言うまでもありません。教室でザリガニと遊びながら,その生態を知り,観察の目を育てたのです。ダイナミックな学習の取り組みでした。 本校では,70周年の記念事業の一つとして,「里地里山プロジェクト」という計画が進められています。先日その内容が子どもたちに教示されました。告天舎のそばに大きな池や田んぼを作り,そこにいろいろな生き物や植物を育てていこうというものです。里地里山という人と自然が響き合えるすばらしい環境システムを学園内に作り,子ども達の好奇心を育てながら自然を大切にする心を培っていこうとするプロジェクトです。できあがった田んぼや池で子どもたちが喜々として学ぶ姿を今から思い描いています。