ひばりっこブログ

人に優しく

  今年で教師生活が16年目になりました。長く担任をする中で,いろいろな性格や価値観の子どもたちと接してきました。毎日仲良く過ごすことがほとんどですが,時には我を通してぶつかる姿も見かけます。そんな時に思い出す話があります。
  

 それは,レディーガガさんのこんなエピソードです。ガガさんは子どものころ,奇抜な髪型や理解しがたい夢を語ることで,周りの友だちからは受け入れられず,学校で悲しい思いをしていたそうです。お母さんに相談すると,決まって「優しさでやっつけてしまいなさい!優しい人に優しくすることも素晴らしいことだけど,そうでない人に優しくすることも大事なこと!」と言われたそうです。ガガさんのお母さんは,他の人からは簡単には理解されない,彼女の個性を大切にしていたのでしょう。そして,周囲に彼女のことを理解してもらうには,自分を否定することではなく,他人にやり返すことでもなく,どんな相手にでも「優しさ」で接していくことが大切だと伝えたかったのではないでしょうか。そして,ガガさんは,「優しさとは,人に伝染していくものであり,他人に与えれば広がる。優しいことをひとつして,ある人がそれを受けとると,『私もひとつ,優しい行動をしてみよう』となるのではないか」と考えたそうです。

  そのために,自分ができることは人と心の距離をとることではなく,まずは,人に優しくすることが大切なのだと改めて考えさせられました。私が苦手だと思う人でも,私が知らないだけで,その人なりの悩みがあるのかもしれません。嫌い,怖い,苦手という理由で,相手と心の距離をとるのではなく,知りたい,変えたい,優しくありたいから相手との心の距離を縮める。現状を変えるのは厳しさや強い物言いだけではないと感じます。

 今年は世界中が大変な一年となり,マスクをして人との距離をとらなければならない日常となりました。こんな時だからこそ,心の距離はできるだけ縮めたいものです。そして,今まで雲雀丘学園の子どもたちや保護者の皆様,先生方,家族に優しくしていただいた以上に,一人でも多くの人に優しくできる人間でありたいです。