心まにまに

スイミーの教え

「広い 海の どこかに、小さな 魚の きょうだいたちが、たのしく くらして いた。みんな 赤いのに、一ぴきだけは、からす貝よりも まっくろ。およぐのは、だれよりも はやかった。名前は スイミー。…」

(レオ=レオ二:作・絵  谷川俊太郎:訳)

 

 

 

2年生の国語の教科書にある『スイミー』は、低学年の子どもたちが大好きな物語の一つです。

光村図書の国語の教科書に採用されたのが1977年のこと、

保護者の皆様の中にも「あ、なつかしい!」と思われる方がきっと多いことでしょう。

今一度、あらすじをご紹介しますと…

 

 

ある日、大きなまぐろに、きょうだいの赤い魚たちを一匹残らずのみこまれたスイミー。

怖くて、寂しくて、悲しい思いをしますが、その後、海の中の美しいものや楽しいものに心を癒やされていきます。

そんなとき、スイミーは自分のきょうだいとそっくりの赤い魚たちを岩陰に見つけます。

「出て こいよ、みんなで あそぼう。」

でも、赤い魚たちは大きな魚を恐れて出てきません。

「だけど、いつまでも そこに じっと して いる わけには いかないよ。なんとか、かんがえなくちゃ。」

うんと考えたあと、スイミーはさけびました。

「そうだ、みんな いっしょに およぐんだ。海で いちばん 大きな魚の ふりを して。」

けっしてはなればなれにならないこと、みんな持ち場をまもること…、

スイミーが教えたことができるようになったとき、小さな赤い魚たちは大きな魚をおい出したのでした。

 

 

国語の教材としては「比喩」や「倒置法」といった表現を学習する教材ですが、何よりもスイミーの明るさ、かしこさ、そしてリーダーとして仲間をまとめるかっこよさに子どもは惹きつけられてしまいます。

そして、自分がかっこいいスイミーになったつもりで音読練習に取り組み、その結果、スイミーのセリフにとても感情が込められるのです。

『スイミー』の学習は、指導する私も楽しかったという印象があります。

 

さて、話は変わり…、

 

テレビのニュースを見ると、依然として新型コロナウイルスが話題のほとんどを占めています。

変異株なるものも出てきて、油断ならない状況ですね。

コロナウイルスを侮るつもりはありません。しかし、恐れるばかりでもいけません。

ウィズコロナの時代、学校ではどんなことができて何ができないのかを見極め、できることを行動に移す…、

それが今、私たち教師の仕事の一つとなっています。

 

「だけど、いつまでも そこに じっと して いる わけには いかないよ。なんとか、  かんがえなくちゃ。」

 

スイミーの言うとおり、コロナウイルスという大きな魚を恐れてばかりではいけません。

子どもたちのためには、じっとしているわけにはいかないのです。

考えて、考えて、コロナウイルスという大きな魚を追い出し…は、できないにしても、かわしていきたいと思います。