心まにまに

思い出の先生

私が小学2年生のときの担任の先生は、

年配の男性でした。

お名前は野口先生。

黒縁の眼鏡をかけて、顔は日焼けで真っ黒で、

いつもニコニコとされていました。

 

クラスのみんなは、野口先生が大好きでした。

なぜなら、先生は子どもが良いことをすると、

おもいっきり褒めてくれたからです。

そして、「あくしゅ」と言って、

こちらの手を両手で握ってくれるのです。

もっと良いことをしたときは、みんなの前で

「たかい、たか~い」と抱き上げてくれました。

どちらも、うれしくて、楽しいご褒美でした。

 

その野口先生が、

運動会の前日の準備の際にケガをしました。

入場門の柱が足の上に倒れてきて、骨折したとか。

私たちがそれを聞いたのは運動会当日の朝でした。

その日から野口先生はお休みをされ、

代わりの先生が来られました。

 

しばらく、野口先生は不在でしたが、

何日か経ったある日、

松葉杖をついた野口先生が学校にいらっしゃいました。

「あ〜! 野口先生やぁ!」

と驚く私たちに、廊下から

「みんな、しっかり勉強してますか?」

と、声をかけてくださいました。

いつもの笑顔に会えたことが、

とてもうれしかったことを覚えています。

 

私が教師の道を選んだのは

野口先生のようになりたいと思ったから…、

というのも一つの理由です。

新任のころはクラスの子どもに

「たかい、たか~い」をしたこともあります。

 

野口先生に担任をしていただいたのはたった1年間、

そして、もうお会いすることはありませんが、

すごく大きな影響をいただきました。

それは、今でも感謝しています。