ひばりっこブログ

「あたりまえの幸せ」

 2月末,突然の休校要請が政府から出され,3月のひな祭り前から休校となり,まだ,梅の残り香に春の訪れを喜んでいた矢先で,教員間では卒業式と修了式の心配をするくらいの程度でした。しかし,ことのほか休校が延長に次ぐ延長で,令和元年度の年度末が消滅しただけでなく,令和2年度を始めることができませんでした。ようやく,5月25日から5年生を皮切りに学年ごとの登校日を設け分散登校を経てようやく学校に全校の子どもたちの声が戻ってきました。  桜の花を楽しむこともできず,若葉からの木漏れ日に初夏を感じる間もなく,梅雨入りの季節から1学期の開始となりました。  日本中,いや,世界各国で外出の制限が敷かれ,「しかたがない」とは言え,学ぶ機会を突然失った子どもたちになんとかしようと方法を探りました。成績物や連絡プリント,教科書の郵送,ホームページでの授業動画や「ひばりっこTV」での朝会配信やお知らせ,メールシステムでの連絡,そして,タブレットを持つ学年のみならず,各家庭の端末を利用しロイロノートスクールのシステムを使い,課題のやりとりができました。5月に入ってからは,V-Cubeの会議システムを利用した,双方向の学級朝会や学年朝会ができました。  慣れないこととは言え,教師間で協力しながら進めてきましたが,保護者の皆様には長い間のご迷惑をおかけしたことに心苦しく感じておりました。  私たち教師は,36人の子どもたちと常に対面で学習活動に取り組んでいます。ですから,いくら便利なシステムだとは言え,子どもの姿が見えない状況は,とてもやりにくさを感じていました。いつも,肌で感じていた子どもたちとの関係が突然ぷつんと切られたような状況だったのでそう感じたのかもしれません。  毎日,受け持ちの子どもたちと近い距離でふれ合っていたときの嬉しさ,楽しさは私たちにとって至上の喜びであったことに改めて気づかされた休校時期でした。  教職員は,勤務態勢を在宅勤務にシフトしましたが,連日8割を超える出勤率でした。教材を作ったり印刷したり,動画を撮ったりするのは,学校に出てこないと難しかったことが理由だと思われます。政府の要請に抗う形となりましたが,午後から在宅に切り替えてもらうなどできるだけ配慮しました。  目に見えないウイルスとの戦いは,先行きが見えず,焦りや諦めの入り交じった複雑な心持ちをいろんな人々に与えたと思いますが,医療機関で従事されている方々の防護服が不足しているという情報を受け,ポリ袋を材料に,簡易の防護服の制作を各家庭に依頼したところ,小学校では約180家庭の協力を得て約850枚を宝塚市医師会と川西市医師会にお届けできました。中には,子どもたちや保護者の皆様の励ましのメッセージも添えられていて,配布された病院からお礼のお手紙をたくさん頂きました。  こんな時だからこそ,明るいニュースとして各ご家庭の温かさに触れた出来事に,とても心がほっこりしました。  これからは,今までの生活がいろいろな場面で制限されます。新たなルールや慣習も生まれていくでしょう。しかし,私たちは,あたりまえの日常の幸せに感謝しながらも,皆で協力して社会生活をより良いかたちにしていかなければなりません。つらい経験でしたが,子どもたち一人ひとりのこれからの人生の糧になるように学校生活の中で導いていきたいと考えています。