校長室の窓から

「花ばかりが桜じゃないのやから」

 先日,ある新聞のコラムで「桜守」の第16代 佐野藤右衛門さんのことが取り上げられていました。造園業として京都の名所にある桜を守る仕事をされています。
 著作の中で,藤右衛門さんは,桜の木は,1年を通じて眺めてほしいと説かれています。私達日本人は,古来から『花は桜』と花見などの行事ごとで花の時期しか目に留めることが少ないですが,今の時期の桜の木も花芽をじっくりと育てて,厳しい寒さに耐えている姿があると言うことなのです。花が散った後に青葉が輝く季節を経て,朱や黄の色づきから落葉までの営みは,それぞれに意味があると言うことを教えてもらうことができます。
 今のソメイヨシノの全景は,寒々とした様子ですが,来るべき春に備えているのだろうと改めて,愛着を込めて毎朝眺めています。