心まにまに

大和言葉

『芳(かんば)しい』、『和(なご)む』

『たおやか』などの日本固有の言葉は

『大和言葉(和語)』と言い、

耳にやさしく響きます。

 

大和言葉は人の名前にも多く見られますし、

最近は施設の名前や、

企業の名前にも、よく使われます。

 

さて、今から30年ほど前の話。

『ひかり』『こだま』に続く

新しい新幹線の営業を始めるにあたり、

その列車名を決める委員会が

JRの中で立ち上がりました

その委員の1人として選ばれたのは、

文筆家や司会者として活躍されている

阿川佐和子さんでした。

 

「希望」「きらら」「つばめ」「エース」…

などの候補がありましたが決め手に欠け、

佐和子さんはお父様(小説家の阿川弘之氏)に

相談をされました。お父様が仰ったことは

 

「国鉄時代から列車の名前は、

 大和言葉でつけられてきたんだ。

 候補の中では(大和言葉は)

 『つばめ』しかないけれど、

 現存の『ひかり』より速い列車が

 『つばめ』というのもなぁ…。」

 

佐和子さんは候補の中にあった『希望』を

大和言葉の『のぞみ』に変えて提案し、

結局、それが採用されたということです。

 

『希望』と『のぞみ』、漢語と大和言葉。

後者のほうが乗り心地が良さそうですね。

 

『雲雀丘(ひばりがおか)』も、大和言葉です。

やわらかな印象の、良い名前だなと思います。

新文化館の『道しるべ』も、同じく。