ひばりっこブログ

研究部の方針

研究部主任

 低学年の国語に,『おおきなかぶ』という教材があります。おじいさんが畑にかぶの種を蒔くと,大きな,大きなかぶができます。あまりにも大きくてなかなか抜けないかぶを,おじいさん,おばあさん,孫,犬,猫,ねずみが引っ張り,「とうとう,かぶはぬけました」となります。
 授業では教室に大きなかぶを用意して(といっても布製の大きなかぶです),それをおじいさんやねずみになりきった子どもたちが引っ張ります。みんな,生き生きと活動し,「今度は僕も」「私もやりたい」と積極的に参加しようとします。
 ひとしきり,登場人物になりきったあとで「かぶが抜けて,おじいさんはなんと言ったのでしょう」と問いかけると,たとえ作り物でも実際にかぶを抜く体験をした子どもから,たくさんの言葉が返ってきます。

 さて,研究部が「自ら考える力を育てる」を研究目標に据えて,今年で3年目となりました。過去2年で10回の研究授業を,また,教科部単位では教科内研修授業を実施してきました。そして,授業後に,主に次の3点について振り返りました。
 ・児童が考えるきっかけを作ることができたか
 ・考えを深めるように児童を導けたか
 ・児童の考えを適切に取り上げることができたか
 授業の導入からまとめまで子どもが自ら考える活動に取り組むためには,どれも留意しなければならない事柄です。

 『大きなかぶ』で例えると,かぶを抜く活動は,登場人物になりきり,その心情を考えるきっかけになります。
 「ぬけたかぶは,どんなことを考えているのかな」と子どもに問いかけたことがあります。挿絵のかぶには表情がありませんから,子どもたちの想像はどんどん膨らみます。そして,「ぬいてくれてありがとう」「おもかったでしょ,ごめんね」「いやだなぁ,もうちょっと土の中でねていたかったのに」「たべられちゃう,かなしいよ」と,さまざまな言葉が返ってきます。まさに,「喜怒哀楽」のすべての考えが揃います。
 子どもたちの想像力は,とても豊かです。それは,私たち教師の想像の域を超えることが度々あり,それゆえ,事前に子どもの発言を十分に予想しておく必要があります。

 …と,言葉で言うのは簡単なのですが,実際にはとても難しいことです。

 昨年度の研究活動の振り返りを見ても,子どもからの考えをどのように取り上げたのか,どのように返したのかについて,多くの反省が多くみられました。今年度は「考えを深めるように導くことができたか,どのように導いたか」に重点をおき,学び合いの場をつくっていきたいと考えます。