ひばりっこブログ
2017/06/29
アクティブな授業を目指して
低学年の頃は生き生きと目を輝かせて学んでいた子どもたちも,高学年になるとずいぶん様子が変わってきます。「次算数なん?めんどくさ。」「1~6時間目まで全部体育やったら良いのに。」などと,残念ながら後ろ向きな発言も聞こえてきます。私が担任している6年生では,塾での先行学習もあり,知識を身につけた上で授業に臨む子も多いのです。そんな子どもたちにいわゆる「教科書通り」の授業をしても,すぐに退屈してしまいます。子どもたちを授業に意欲的に参加させること。これは私達にとって大きな課題の一つです。
ところでみなさんは,「アクティブ・ラーニング」という言葉をご存知ですか。ニュースや新聞で取り上げられているのを見聞きされた方も多いと思います。書店の教育書コーナーに足を運ぶと,書名にアクティブ・ラーニングを冠した書籍や,特集記事を載せた雑誌がズラリと並んでいます。今,この言葉は教育の世界でひとつのキーワードになっているのです。
では,アクティブ・ラーニングとはどのようなものなのでしょうか。英語の「アクティブ」は能動的,「ラーニング」は学習ですから,直訳すると「能動的学習」になります。もう少し具体的に言えば,子どもたちが授業に意欲をもち,自分の意思で一生懸命思考し,学んでいる状態をいいます。「将来の予測困難な社会でも,自分で試行錯誤しながら問題解決し,生き抜く力をつけること。」これがアクティブ・ラーニングの目標です。児童の主体的な学びが求められているのです。
さて,それらを踏まえて私が意識しているのが,授業の中で学習への「動機づけ」を高めることです。たとえば理科の「ヒトの体」の学習では,導入を工夫しました。「きみも人体プロデューサー」と称して,胃や腸などのパズルを使って,体内のどこにどの臓器があるのか考えさせました。まるで福笑いのようですが,子どもたちは遊び感覚で楽しみながら取り組みます。他にも,人の心臓が1分間に送り出す血液の量と同じ,約4Lの色水を石油ポンプで移しかえる実験もしました。子どもたちは水浸しになりながらも,大盛り上がりで必死になって取り組みます。やってみるとわかりますが,1分間で4Lの水を移しかえるのは容易ではありません。彼らは,普段当たり前に動いていて気にも留めない心臓のはたらきに「すごい!」と感心するようになります。こうした活動を授業に数多く取り入れると,子どもたちの表情も自然と明るくなり,前向きに考える様子が見られます。
このように,知識や手段を「教え込む」だけでなく,これからは子どもたち自身が考え,発見する学び方がより大切になってくると思います。私達にできることは,授業の中で子どもたちの主体性や考えを引き出す「ひと工夫」をすることです。手間はかかるものの,子どもたちの生き生きとした姿を見れば,「頑張って準備した甲斐があった。」と感じます。6年生は,小学校らしい授業を受けられるのもあとわずかです。子どもたちがアクティブになれる授業づくりをどんどん心がけていきたいものです。