ひばりっこブログ
2017/11/30
豊かな人間づくりを目指して
私が本校に来て,今年で9年目になりました。1年目は専科で2年目からは担任を持っています。担任をしていると,毎年,新しいクラスの子どもたちと顔を合わせる前に,色々なことに思いを巡らせます。始業式の日にはどんな話をしようかな,どんな雰囲気のクラスになるのかな,など考えることは尽きません。
そんな中でも最も時間をかけて考えるのが,1年間で子どもたちにどんな力を付けるかということです。これは,子どもたちがこの先成長していくであろう姿を想像し,そこから逆算をして考えています。私の場合,ここ数年は高学年を担任する機会が続いているので,5年生であっても6年生であっても,子どもたちが“良い卒業”をし,“充実した中学校生活”を送る姿をイメージしてきました。私が考える良い卒業とは,雲雀丘学園で過ごした時間と,共に過ごした友だちを誇りに思って卒業していくことです。また,充実した中学校生活とは,新しく出会った友だちと良い関係を築くことで得られるものです。
これらの姿を実現させるために,最も大切なのが本校の教育目標である『高く,豊かに,たくましく』の実践です。この目標は豊かな人間づくりを基調とした上で,様々な力を身に付けるという考えに基づいているのですが,私はここに出てくる豊かな人間を“素直な心を持ち,人の良い所を見つけられる人間”と捉えています。
人は相手の悪い所やできていない所に目が行きがちです。子どもたちを見ていても,されて嫌なことがあれば言いに来ますが,されて嬉しかったことをその都度言いに来る子はあまりいません。他にも,トイレの後,ズボンで手を拭いたり手を振って水気を飛ばしたりした子のことは言いに来ますが,きちんとハンカチで拭いた子のことは言いに来ません。世の中を見ても,悪い行いを取り締まる警察はいますが,良い行いを称える機会はあまりにも少ないのです。だからこそ,小学生のうちに人の良い所を見る習慣を意識して身に付け,豊かな人間の基礎を育まなければいけないのです。
子どもたちにこの習慣を身に付けさせるために,私が心掛けていることが率先垂範です。子どもや世の中に違わず,子どもたちにとって身近な大人である教員も,ふと気を抜くと字が汚い,掃除の仕方が雑など否定的な所に目がいってしまいますが,これではいけないのです。相手の良い所を見なさいと言うのなら,言った私自身が誰よりも良い所を見つけ,褒める姿を示さなければいけません。例えば,字が汚いと感じたのなら,まずはその原因は何なのか考えます。字を書く時の姿勢,鉛筆の持ち方,字の大きさ,濃さなど改善できるポイントはいくらでもあります。そして,綺麗な字が書けたときに大いに褒めることが大切なのです。
ここまで,私が心掛けていることについて書いてきましたが,実際は,1日の自分を振り返り,しっかり褒められたと実感できる日は少なく,まだまだ反省ばかりの日々です。ですが,子どもたちは,着実に人の良い所を見る目を育んでいます。5雪の帰りの会で行ている,人にされて嬉しかったことを発表するハッピータイムでは,毎日欠かさず相手に感謝する声がたくさん聞かれます。私もクラスの子どもたちに負けないように,褒める目を鍛えていきます。そして,雲雀丘学園で学んだ全ての子どもたちが,「高く・豊かに・たくましく」歩んでいく姿を心から応援しています。