ひばりっこブログ

自ら考える力を育てる(4年次)~質の高い考えを引き出す授業~

研究部主任 神吉 清視

 「自ら考える力を育てる ~質の高い考えを引き出す授業~」を研究部の目標に据えて,昨年度末で丸三年を終えました。この研究部の目標のもと,各教科部会ではさらに具体的な教科目標を設定し,指導内容の検討や指導方法の研究を重ねてきました。

 机上の研究や議論も大切ですが,実際に授業を行い,授業中の児童の反応を見ることで学ぶことがたくさんあります。ですから,本校では『研究授業』を研究部活動の大きな柱に位置付けています。昨年度は,四つの教科部会(国語,理科,音楽,道徳)が研究授業を行いました。それらを参観して,どの授業でも導入に工夫が見られたと感じます。
 理科の『水溶液』の研究授業(6年生)をご紹介しましょう。それは,あらかじめ用意された実験に取り組み,その結果を予想するという「ありきたり」な授業ではありません。まず,教師は児童にこのように問いかけます。「このビーカーの中の液体は何でしょう。それを調べる方法を班で考え,実際に実験をして確かめなさい」。いつもとは違う授業の流れに児童は驚いた様子でしたが,すぐに課題に興味を示し,班で実験の方法や手順を相談しはじめました。いつも以上に積極的に実験に取り組んでいたのは,自分たちで選んだ実験方法が正しいのか,それを早く確かめたいという気持ちの表れだったのでしょう。
 音楽の研究授業(2年生)では,4人グループでリズムを創作しました。教師が与えたリズムの表現方法を考える…というのは「よくある」活動ですが,この授業では,動物などのイメージに合ったリズムを考えるところから始まりました。「四分音符,二分音符のどっちがいいかな」,「ぞうさんはゆっくり歩くから,四分音符にしよう」と,お互いのイメージを確認しあう様子が見られました。楽しんで課題に取り組む姿は,とても微笑ましいものでした。
 国語の研究授業(4年生)では,説明文の中の一段落を抜き取って児童に提示し,抜き取った段落が全体のどこに入るのかを考えるというものでした。道徳の研究授業(5年生)では,児童に身近な『教室の掃除』を題材にして,それを他人に依頼するか,自分たちで掃除をするかを話し合う授業でした。
 自ら考えようとするには,「考えてみたい」と思うきっかけ作りが必要です。それについては,過去の3年間の研究活動でそれなりの成果が現れてきたようです。

 ただ,児童が友だちと学び合い考えを深め合えたか,質の高い考えに至ったかについては,十分とは言えません。一部の児童の考えで授業が進んだり,お互いに意見を交わす時間が取れなかったりと,いくつかの課題が残りました。
 言いたいことを言うだけではなく,友だちの考えを理解し,新しい考えを見つける,さらに発信する…,そういう力がこれからの子どもたちには必要です。友だちと共に,自らの考えを深めることを意識して研究活動に取り組み,それを日々の授業に活かしていくことが今年度の重点課題です。