ひばりっこブログ
2019/10/31
わたしたちが子どもにつたえること
最近,この辺りでは,あまり見覚えのない植物が校内に増えてきました。どうやら外来種のようです。もちろん植物は,風や動物によって種や花粉が運ばれ,仲間を増やしていくので,種類によって見られる場所は移動していきます。ですが,育つ環境が植物によって決まっていますし,海外から飛んでくることもないので,むやみやたらと増えるわけではないはずです。それは植物だけでなく昆虫などの小動物にも言えることです。昨今ヒアリやセアカゴケグモなど,日本に存在しなかった種が発見されるようになりました。これらはどのようにしてやってきているのでしょう。これは,今になって始まったものではないようです。たとえばシロツメクサ(クローバー)は,帰化植物です。オランダからの献上品のガラス製品の緩衝材としてこれを箱に詰めたそうです。そこからツメクサの名前が来たといわれています。それが多く日本に広まったのは,家畜の飼料として輸入されたことで日本に帰化したようです。この草は現在有効活用されていることと、他の植物を浸食するほどの勢力がないので,それほど問題視されていないようです。それに対してセイヨウタンポポは,繁殖力が強く,北海道では駆除されるほどだそうです。北アメリカから野菜として学者が持ち込んだそうです。現在は交通手段の発達により,海外からや日本からの人の出入りが激しくなっており,衣服や材木などについた外来種が多く入ってくるようになりました。また,最近ペットとして海外より持ち込んだものが逃げたり,飼えなくって逃がしたりすることで野生化する動物も増えています。これらにより在来種の動植物などが存続の危機を迎えてきているようです。
では,なぜそれがいけないのだろうという疑問が生じます。その場所に元々いなかったものがふえることでそこの生態系が変わり,新しい病原菌などが発生する恐れも出てくるからです。子どもの未来を考える上で,生態系を守ることも大切なことだと思います。 今,学園で行おうとしている「里里田・里里池」もその一端をになえるものになれればと考えています。何を植え,どんな生き物がいることがよいのかを考えていかなくてはなりません。そして,人が自然と共生していくためにどのようなことに注意しなくてはいけないのかを考えなくてはなりません。
SDGsは,未来の子どもたちのために,人間のための持続可能な開発目標です。ノーベル化学賞を受賞された吉野彰さんが、発明されたのは,今ではあたりまえのように利用しているかリチウムイオン電池。携帯の電池に使われています。これから先は,この電池が主流になってくると予想されています。吉野さんはこの電池を環境問題への寄与も考えないとと話しておられました。電池の開発と環境問題が一体化して,将来の人間たちの生活を豊かにする開発。まさにSDGsを実現しようとされているといえます。
そして吉野さんは若い研究者への言葉として「われわれ人類は、自然現象の中で、本当に理解しているのは、たぶん1%か2%ぐらいだと思う。98%、99%は未知の哲学の状態で、いろんなことが横たわっている。そういうのをチャレンジすれば、必ず誰か、とんでもないものを見つけ出す。とんでもないものを発明すると。そういうことをぜひ、伝えたいと思っている」と話されていました。
「とんでもない発明」それが命を守るにつながるためのものであることが大切です。
私たち理科の教員が子どもたちに伝えることもこの言葉なのかもしれません。今,私たちが教えていることに興味や疑問を持ちつつ何かの機会に将来のための発見や開発をしていける子どもたちを育てることが私たちの大人の役目なのかもしれません。