ひばりっこブログ

聴くことのススメ

  1年生の女の子が突然,クイズを出してきました。
「わたしは,今度の金曜日に飛行機でディズニーランドへ 行って,2回お泊まりをするでしょうか!?」
しばらく考えるふりをしてから答えました。
「えっとね,2回お泊まりを…,する!」
「ピンポーン!えーっ,どうして分かったの!?」
そりゃあ,分かりますとも。これだけ具体的に話してくれれば,いくら鈍感な私でも彼女がディズニーランドを楽しみにしていることは分かります。クイズを出しているあいだも,ずっと笑顔でしたからね。
 休み明けに,女の子はディズニーランドの思い出を話しにきてくれました。すると,それを横で聞いていた子たちが「ぼくは昨日,映画を観に行ったよ」「わたしは家にいたけどね,ママとお料理した」と話しはじめ,右から左からいろいろな話が重なってきました。全員に相づちを打つのは大変でしたが,話の輪がどんどん広がり,楽しい時間となりました。


 子どもと接していると,「彼らの心の中は誰かに伝えたいことで溢れている」ことを実感します。ディズニーランドのように楽しいこともあれば,ときには困りごと,悩みごともあります。どのようなことであっても,それを誰かに伝えたり,ときには吐き出したりすることは,これから長い人生を歩む子どもには大切な経験です。それは,自分を表現するという意味でも,誰かに助けを求めるという意味でも。そして,その力を育むのは,子どもの話を最もそばで聴くことができる家族であり,学校では教師,友だちであるのでしょう。


 お子さんはおうちで,その日の出来事を話していますか?そうであるなら,できるだけ遮らないで聴いてあげてください。「うちの子は,あまり話さなくて…」というお声もよく聞きます。その理由として,『ご両親がお子さんに話していない』ということはないですか?お子さんに話しているつもりで,じつは指示やお小言,質問ばかりになっていませんか?ぜひ,お父さんやお母さんの一日の出来事を聞かせてあげてください。「お昼御飯に食べたものが美味しかったよ」といった他愛のない内容でかまいません。そのお話を受けて,お子さんも自分のことを話しはじめるようになるでしょう。


 今年度,私は学級担任を外れて少しだけ寂しい思いをしています。でも,今の立場だから多くの学年の子どもたちと接することができます。たくさんの教室をめぐって,たくさんの子どもの話を聴く…,それを楽しみに毎日を過ごしています。