校長室の窓から

優しい心づかいの上級生

 本校は,全校生の86%,約730人の子ども達が阪急電車で通っています。電車の乗り降りやホームでの待ち方,車内での過ごし方などを入学してすぐに教えます。全校生には,年間を通じて,時期を決めて学校で教えたり,駅や車内で直接指導したりすることもあります。この指導は,根気がいる指導で,全教職員で取り組んでいますが,なかなか効果が見えてこないことが多いのです。
 先週,あるお母様から,次のようなお手紙を担任宛に頂きました。

 どうしてもお伝えしたい出来事がありましたので、本書をお渡し致します。
 毎朝、私は息子と一緒に、阪急電車宝塚駅から雲雀丘花屋敷駅まで電車に乗っています。
 先々週の登校中、息子はいつものように電車の中で椅子に座りながら本を読んでいたのですが、山本駅に電車が入ったところで扉の前に移動した男の子(一人で登校していたおそらく3~ 6年生くらい)が息子の方を何度も振り返り、決心したような顔つきで声を潜めて扉付近から何かを伝えてくれました。息子はというと、全く気にせずに本を読み続けており、そんな様子を見て今度は小声と小さくジェスチャーで何かを一生懸命伝えようとしてくれました。その動きを見た私が息子をつついたのを見て、お母さんが側にいることが分かったようで、電車が雲雀丘花屋敷の駅に到着し、扉が開くとその男の子も納得したようにさっと降りて行ってしまいました。
 ホームに下りてから息子に「なんて言ってくれてたの?」と聞いたところ、「もうすぐ雲雀の駅に着くよって言ってた。」と。
 本に夢中になっている一人で通学している一年生を見て、心配してなんとか降りるべき駅が近づいている事を教えてあげようとしてくれた上級生の男の子。なんて素敵なんだろうと感動しました。
 突然の事だったのでお顔も覚えておらず、番号も何もわかりませんが、そのお子さんに、そして素敵な思いやりを素直に実行できるように子ども達を導いてくださっている先生方に感謝申し上げたく、お手紙にさせていただきました。ありがとうございます。

 電車の中での何気ない児童の仕草から上級生の優しさを感じ取って下さったお母様の温かい感性に,お手紙を読みながら心がほっこりしました。お許しを得て,昨日の全校朝会で子ども達に紹介しました。
 子ども達の乗車のマナーや態度にお叱りを受けることも多いのですが,日頃の学校の指導が確実に子ども達の心の成長に繋がっているのだと言うことが分かり,嬉しく感じました。ありがとうございました。