心まにまに

しょうぎ

小学校中学年あたりから、『将棋』に興味を持ちはじめる子が出てきます。

とくに男子に多いでしょうか。

休み時間に「豆名人」たちが将棋をさす姿は微笑ましいものです。

ルールを友だちに教えてあげたり、強い友だちには二人対一人で挑んだり、将棋を介して友だちの輪が広がります。

 


将棋が他の勝負事と大きく違うところ、それは「勝敗の決まり方」です。

たとえば、オセロゲームは最後に盤面のコマの数を数えて「白が多いから、白の勝ち!」となります。

トランプのババ抜きは「一番初めに上がった○○さんの勝ち!」「最後までカードを持っていた○○さん、残念…」。

 


ところが、将棋には、はっきりと分かる勝ち負けの姿がありません。

将棋は、対戦するどちらか一方の「まいりました」「降参です」の言葉で勝敗が決まるのです。

敗者の自己申告で勝敗が決まる、そういう意味では将棋は特殊なゲームです。

 


「まいりました」「降参です」という言葉を口に出す経験って、子どもたちには殆どないと思います。

子どもだけではなく、大人もそうでしょうか。

スポーツや勝負事で「勝ち」に向けて努力することは大切です。

ただ、「負け」のときに、涙や反省だけで終わるのではなく、一枚上の相手を敬う気持ちも人として大切ですね。

「まいりました」という言葉を通して、子どもたちにはそんな気持ちを育んでほしいなと思います。

 


昨日、将棋の「棋聖戦」において、藤井聡太棋聖が現役最強と言われる渡辺明名人に勝ちました。

もちろん、この一局も、渡辺名人の「まいりました」という言葉で終わりました。